2007-01-01から1年間の記事一覧

 『クワイエットルームにようこそ (監督 松尾スズキ)』 〜繋がることができない人のかなしみ

「こころの病」とみなされている人たちがいる。 もちろん、薬物療法をはじめとした医学的管理を絶対的に必要としている人たちもいる。けれども、世間になんとか折り合いをつけて生きている人たちとそれほどかけ離れたところがない人たちもたくさんいる。逆に…

 医療者の勘違い〜自己管理とは?(後編)

私が糖尿病を診療するようになって、既に20年以上になりますが、最初の10年余りは、患者さんの血糖コントロールが思うようにいかず、いろいろ悩んだものでした。 当初は、食事に関しての分析や指導を栄養士さんに頼り切っていたことが原因ではないかと思い込…

 医療者の勘違い〜自己管理とは?(前編)

高血圧症、糖尿病、高脂血症、メタボリック症候群等々、普段の生活習慣が発症に関与している病気を生活習慣病といいます。 生活習慣病といえども、その発症には遺伝的要因や年齢による生理的な変化も大いに関係しています。しかし、生活習慣病の予防や治療を…

 沖縄での集団自決に関する教科書検定について思うこと

太平洋戦争末期、沖縄で起こった集団自決に軍の強制があったか否かということで文科省の教科書検定が問題になっている。 教科書によって表現はまちまちだろうが、概ね「日本軍が住民の集団自決を強制した」という記述が、検定を経て「住民は集団自決に追い込…

 テロ特措法について思うこと

先日、安倍総理が辞任会見を行っているところを病室のTVで偶然眼にしました。あまりの唐突さに少し驚きはしましたが、時期を選ばない辞任のタイミング、安倍総理の表情や力のない言葉などから、これ以上総理の職を続けることが難しいということは十分に画面…

 世界陸上2007を観ながら思ったこと

小学生の頃、運動会で一番みんなが盛り上がった競技はクラス対抗リレーだったように思います。今はクラス全員で走って速さを競うことが多いようですが、私が小学生の頃は、クラスで代表を4人決め、4×トラック1週で競ったものでした。 運動のできる子は、当時…

 星野道夫の命日に生命について考えてみた

1996年8月8日、アラスカの自然を撮り続けた写真家 星野道夫が、取材先のシベリアでヒグマに襲われ命を落とした。 みずみずしく息づくアラスカの姿を写し出した星野の写真はどれも素晴らしいものであるが、アラスカで生活しながら綴られた多くの著述も、その…

 『アヒルと鴨のコインロッカー』(伊坂幸太郎)〜意識が翻弄される面白さ〜

自分がいま生活している世界は、自分の五感で感じ取った情報を元に、自分の意識の中で再構成され、認識された世界である。それは、自分と同時に同じ事実を経験したひとに認識されている世界と、殆どの場合、それほど違うものではない。 しかし、感じ取ったり…

 一からの出直し

自分の経験を、統計的にも、論理的にも、それなりに整理していく習慣がつけば、なるほど経験とは役に立つものである。経験に照らし合わすだけで大きく道を踏みはずす危険もないし、殆どのことはそれで事足りるようになる。 他方、経験が乏しい頃には当たり前…

 こころが自由であること

3月末で16年間勤めた職場を退職した。 辞意を初めて伝えたのは、確か平成17年9月頃だったから、辞めるまでに1年半足らずの期間を要したことになる。その間、雇用主との間で「辞める」、「辞めてもらっては困る」と平行線のやりとりが、意味なく繰り返された…