09' 日本アカデミー賞


先日、たまたま点けたTVで日本アカデミー賞の中継をやっていた。『おくりびと』がほぼ一人勝ちの様相だったが、木村多江が主演女優賞をとった時は、なんだかほっとした。
あまり賞の行方には関心がない方なので曖昧な記憶で恐縮だが、これまでも日本アカデミー賞は一人勝ちになることが多かったような気がする。『おくりびと』はとてもいい映画であったし、賞を独占しても不思議はないのだが、実際に一人勝ちしていく様にはなんとも不自然な印象を受けた。
賞は、現役の人も含めて映画製作に携わった経験のある日本アカデミー賞協会員全員の投票により決まるらしい。
作品賞は自分がベストと感じた映画を挙げれば良いのだから誰にも選びやすいと思うが、脚本と演出の区別は、素人の私などには大変難しく感じる。そこで、実際に脚本と演出に接した経験のある関係者が賞を選ぶということには一つの見識を感じる。
しかし、録音、照明、編集、撮影などの技術的な評価は、実際にそれぞれの専門に携わったプロでなければさらに評価は難しいのではないかと思われる。『おくりびと』の録音、照明、編集、撮影が他の映画に比べて優れていたかといえば、私にはさっぱり分からない。
せっかくこうした縁の下の力持ち的な役割にスポットを当てるのであるなら、しっかりとした評価のできるプロにその選考を任せてもよいのではないかと感じた。


おくりびと』の関係者が次々に受賞するなかで、取り残された広末涼子には気の毒な授賞式になった。受賞者を笑顔で祝福する姿がひどく健気に見えた。
おくりびと』には主演男優はいても、主演女優に相当する役はないと私は思う。最優秀主演女優賞を争うには、広末の役ではインパクトが弱すぎる。個人的な感想だが、『おくりびと』で最優秀助演女優賞に選ばれるべきは余貴美子ではなく、むしろ広末涼子ではないかと思った。
本木雅弘山崎努ら出演者のコメントを聞いていて、彼女はこの映画でいい勉強をしたように思えた。今後、さらに一皮向けて成長した演技を見せて欲しいと願っている。