自立のために


フェアトレードと言えば本来公正な価格での取引を意味する言葉であるが、サブサハラアフリカ諸国との貿易においては、農産物や民芸品などの特産品を公正な価格で取引することを意味しているようである。
NGONPOを通じて、市場に運ぶことが困難な奥地や商取引になじみのない人々から物資を調達し、フェアトレードショップを通じて販売している訳だが、国家の財政を健全化する手段には程遠い。
経済的に自立した国で、その輸出市場が特産品のみ(地下資源を除く)で成り立っている国はない。
サブサハラアフリカ諸国が経済的に自立していくためには、産業を興すことが必要であるが、そのために必要なことはあまりに多い。
まず民主的な政府を樹立すること。交通網や水資源の確保などの社会資本を整備すること。労働力を確保すること。そして、人材を育てるには一定水準以上の教育が必要であり、また、若年労働人口を失わないためには疫病対策が必要であろう。
また産業を興していく過程で、熱帯雨林の伐採や野性動物の保護が当然問題となってくるだろう。
グローバルな、所謂「普通の」自立した国家を目指す時、このような様々なハードルが果たしてクリアーして行けるのか。
よりグローバルな方向へ国家を向かわせるのか、あるいは国家を小さなコミュニティーの集合体と捉え、そのコミュニティーの中での充実した生活を目指すのか。
全ては、アフリカの人々がどのような形の国家を思い描くのかにかかっている。