日本の対アフリカ協力


G8諸国の中でも日本はアフリカ重債務国への債権を多く抱えている。
これに対してジュビリー2000などは、いかにも日本への債務返済がアフリカを苦しめているような印象を与えるキャンペーンを張っているが、実のところ、重債務国の債務返済の大部分は、前述したように国際金融機関への返済に優先的に充てられている。
円借款の大部分は最初からすぐに返されることを期待されていない債務なのだ。
私の調べたところ、日本が債務返済をしきりに督促している事実はないと思う。
債権が多いということは、多額の社会資本を援助しているということの裏返しでもある。
国連常任理事国になりたいという思惑も動機のひとつになっていることは感心できないが、日本は対アフリカ協力についてはよくやっている(数字で見る日本の対アフリカ協力)と思う。
しかしながら、その事実はあまり国内外にアピールされてはいないようだ。
つくづく外交の下手な国だと思う。
これに対して今回のG8議長国イギリスは、うまく立ち回った印象が強い。
イギリスはG8の中でも最も対アフリカ債権が少ないが、2004年にはODAを担当する英国国際開発省の予算の53.8%をサブサハラアフリカに当てている。
債権が少ないので援助も少ないのでは……とこれまで考えていたが、誤解であったようだ。
しかし、イギリスの対アフリカ武器輸出がここ4年間で200億円を超えている(today's_news_from_UK+)ことを見逃してはならない。
援助の裏で内紛を助けるこのイギリスの欺瞞はもっと批判されるべきである。
さて話を日本のことに戻すが、中国や東南アジアの発展に円借款が大きく貢献したことは間違いない。
対アフリカODAで日本はこの対アジア円借款の成功をイメージしているようだが、果たしてそんなにうまくいくのだろうか?
アジアとアフリカの最も大きな違いはその労働力である。
その豊富な労働力があってこそ東南アジアや中国の産業が発展したのであって、アフリカではまずその労働力を育てることから始めなければならないだろう。
そのためには、教育の充実や疾病の撲滅、そして何よりその過酷な自然との闘いと共存が必要とされるに違いない。