巨額の債務


アフリカの再生を考える上で、債務の問題は避けて通ることはできない。
アフリカの抱えている債務総額は3000億ドル(30兆円)超であり、アフリカの輸出総額の3倍近くに上る。
一部ではIMFの構造調整プログラムにより緊縮財政を余儀なくされ、その結果十分な産業育成、福祉政策を施せなくなったことがこの債務危機を生じさせたという見解もある。
そのことについての真偽は別にして、この巨額の債務がアフリカ最貧諸国の再生へのやる気を奪う一因になっていることは否定できない。
昨年までにすでに1000億ドルの債務減免をG8は実施してきたが、今回新たに550億ドルの国際金融機関(世界銀行など)に対する債務帳消しが決定した。
その7割を負担するG8諸国の負担は大きいが、これまでと異なり、他に優先して返済すべき国際金融機関に対する債務が主に帳消しにされたことで、アフリカ重債務国には歓迎されているようだ。
しかし、軽減された債務負担が福祉や教育等他の方面に有効に利用されるかといえば疑問を感じざるを得ない。
一部の特権階級が利権を独占したり、絶えず内紛が繰り返さているといった政治構造や社会構造に問題を持つ国々は多い。
さらに、今後の産業育成のためには民間の投資も必要とされるだろうが、債務が帳消しにされることで、今後の民間金融機関の投資が控えられる事態が生じることも予想される。
いずれにせよ、アフリカ重債務国の真の再生はけっして外から達成されるものではない。
当たり前のことだが、最後はその国民の力にかかっている。