プロスポーツの将来(1)


北の湖が好きだった。
力の塊のような北の湖の相撲が大好きだった。
私が大相撲への興味を失くし始めたのは、その北の湖が土俵を去り、千代の富士が全盛の頃だった。千代の富士の相撲も力強さに溢れてはいたが、アンコ型とは明らかに異質な、その隆々とした筋肉とスマートな相撲がどうしても好きになれなかった。
今では好んで大相撲を観ることはなくなってしまったが、先日たまたまTVで九州場所を目にする機会があった。
その場内の様子にちょっと驚いた。升席に空席が結構目立つ。以前、私が相撲を観ていた頃から若貴時代(この頃はすでに相撲をほとんど見なくなっていたのであまり定かではないが)にかけては、ほぼ連日満員御礼が当たり前だったように思う。
交際目的に升席を企業が買い上げることが減っているといったようなことはあるのだろうが、やはり相撲人気の衰えが大きな理由だろう。歴史があるだけではなく、伝統的な形式に満ちた格闘技である大相撲の上位陣に外国人力士が多すぎることが原因のひとつになっていることは否定できない。
相撲はもともと競技人口の少ないスポーツである。日本のプロスポーツ選手の供給源である学校での部活動でも、相撲を行っているところはもともと少ない。
それでもかつては学校の砂場などで相撲を取って遊ぶ光景がよく見受けられたものだが、最近はあまり見かけなくなったような気がする。大相撲ダイジェストも終わってしまった(NHKで深夜にはやっているようだが……。)いつのまにか相撲は身近なものではなくなってしまった。
それに加えて、K1、プライド、プロレス等といった格闘技の多様化もある。
「腹いっぱい食って、金も儲けて、いい暮らしや親孝行が出来るよ」と言いながら、体格のいい将来有望な若者をスカウトしてくる場は、もっぱら日本国内から海外へと移っているようだ。


プロスポーツを将来維持していくには、次の若い世代にそのスポーツを広く普及していく必要がある。
Jリーグはそのことについての意識を持っているようだが、残念ながら、NPBが十分意識的にそれを行っているようには思えない。これはJリーグという組織作りからプロ化を始めていったプロサッカーと、企業所有のチームがとりあえず試合を行うために集まることでリーグを作ったプロ野球との違いによるところが大きい。
日本プロ野球の将来は現状ではけっして明るいものではない。かといって、Jリーグが明るいものかというと、けっしてそうではないようだ。
そのことについてはまた次回……。