最古の記憶


皆さんが覚えている一番古い思い出は何でしょう。
いま覚えている事で、最も過去に経験した出来事に関する記憶を尋ねてみると、大部分の人が「自分にとって嫌な思い」をした出来事を挙げると何かの本で読んだことがあります(生憎、本の題名が思い出せません。どなたかご存知でしたら、ご一報を。)
海で溺れそうになった、誰かに苛められた挙句に物を取られた、転んで怪我をした……等々。
事件が大きければ大きいほど、鮮明に覚えているらしいです。


五厘刈りくらいの坊主頭の幼子が、薄暗い部屋にある仏壇の前に一人ぽつんと座っている。
見ると、その子は一心不乱に毛玉の沢山付いたこげ茶色の靴下を脱ごうとしている。
上半分は既に裏返っているのだが、どうしても下半分がひっくり返らないので、靴下は中途半端な形のまま左足から離れない……。


これが私の最古の記憶です。
どうしてそこに一人でいるのか、その後どうなったのかは全然覚えていませんが、靴下の様子とか、左足から脱いでいるところなどとかは妙にリアルですね。
すごく嫌な思いをしたという記憶も全くなく、なぜこれが最古の体験談になっているのか不思議な感じがします。
それにしても、もし、嫌なことの初体験がこの程度のことだったとすると何となく笑えます。
幼い頃それほどいい思いをした覚えは全くないのですが、ひょっとすると幸せな幼児期を過ごしていたのかもしれません。
何はともあれ、最初の記憶が「嫌なこと」の思い出ならば、ぜひ最後の記憶は「幸せなこと」の記憶であって欲しいものです。
もしよろしければ、皆さんの最も遡った記憶を教えていただけたら嬉しいです。